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工房からの風 2019

 

 

木火土金水

 

工房からの風

昨年の木に続き、今年のテーマは火。 

 

今年の準備がはじまってから

火というキーワードとともに

事務局や風人のみなさんが準備を進められてきました。

 

 

こころの種火

継いでいく火

 

 

はじめにテーマを聞いたときには

自分にとって正直ピンとこないような

その言葉にどこか近づくことができずにいました。

けれど、この10か月ほど

いつも傍らにその言葉があって

工房からの風本番が近づいてきた秋の入り口

ようやく自分のなかでしっくりくるというか

なんとなく火というテーマが

自分のこととつながってストンときたような気がしてきたのです。

 

 

ものをつくり続けていくなかでは

いつもいつもぼうぼうと燃えるようなときばかりではなく

立ち止まってしまうようなとき

身動きが取れなくなってしまうようなときもあったりします。

 

そういうとき

このままこころの火を、情熱を、失ってしまうのではないかと

とまどって、動揺して、怖くなってしまう自分がいました。

 

 

そんな折、展示会で

年の離れたつくり手の方々とご一緒させていただきました。

年齢や環境が変わっていく中で

いろいろあって元気がなかったけどやれることだけやったのよ、

糸だって新しく染めないで今まであるものを使って。

と、おっしゃっていた作品がどれもすばらしかったのです。

ご本人にとっては

いままでとは違うアプローチだったのかもしれないけれど

その布はものとしての魅力にあふれていました。

 

きっとそれまで積み上げてきた技術、

好奇心、あそびごころ、

いまできないことをいったん受け入れ、そこから歩みだす勇気。

いい意味で力の入りすぎていない、けれどたしかな手仕事がそこにありました。

 

 

こころの火のありようはひとつじゃない。

ぼうぼう燃え盛ってぐんぐん進むエネルギーに満ちているときもあれば

ちいさなちいさな火をともすような時もある

しずかに煙を燻らせるくらいしか力のないときもあるかもしれない

 

それでもいいんだとおもいました。

たいせつなのは火を消さないこと。

絶やさずに継いでいれば

またふいに空気が送り込まれるような瞬間があるかもしれない

誰かや何かに薪をくべてもらえるようなできこともあるかもしれない。

 

どんなにちいさくなっても消さずにさえいれば

おおきくなったりちいさくなったりしながら

こころの火を持ち続けることができるのかもしれない。

 

そういういとなみのなかで自分の手からつくったものが

今度は誰かをあたためるちいさな火になることがあったら

とてもうれしくてしあわせだとおもう

 

 

 

工房からの風2日目におこなわれたトークイベントの中で

ろうそくをつくられている鈴木有紀子さんの言葉が紹介されました。

 

たのしくて苦しくて、あっという間だった

 

ちっとも難しいことばをつかってないのに,

聴いた瞬間も、いまも、こころに深くずしんと響きます。

きっと、

こころの火をたゆまず燃やし続け

真摯に自分と向き合ってきたひとの

たしかな思いが宿った言葉だから。 

 

 

 

 

それぞれの種火を携えてあの場に集まって

そしてまたいつもの工房へと帰っていく

刹那的なようでたしかなこと。

 

いろんな心配事を

たくさんのかたの力によって乗り越えて

あの場がととのえられ

ことしもつくり手と使い手の笑顔が

たくさん交わされたこと

そういう場が存在すること

一つくり手としてほんとうによろこばしくてしあわせなことだと思います。

 

 

ことしもありがとうございました。

またあのお庭で会える日をたのしみに。 

 

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